
目指しているのは、心の真ん中に残る「エレガント」なワイン
ワイナリーについて

塩瀬 豪さんと、齋藤 翔さん(共に1987年生まれ)が2018年に30歳という若さで、北アルプス・安曇野ワイン特区第一号ワイナリーとして立ち上げたワイナリー。
長野県出身のお二人、いったん地元を離れた後に帰郷。長野ならではの仕事に就きたいと考えた塩瀬さんは、安曇野市のワイナリーにて栽培と醸造に携わる。一方、齋藤さんはソムリエとして働いている時に城戸さんのワインに刺激を受け、須坂市のワイナリーの門を叩く。そんなお二人が知り合ったのは、造り手同士の懇親会の場。そこから話はトントン拍子に進みました。
栽培・醸造で修業を積まれた塩瀬さん、ソムリエとしてのキャリアを重ねた上で、そこから栽培・醸造の経験も積んだ齋藤さん。いわばワインの「造り手」と「飲み手」のプロが出会った、新進気鋭のワイナリーなのです。
「Le Milieu(ル ミリュウ)」はフランス語で「真ん中、中心」といった意味。
・人々の食卓、輪の真ん中に僕たちのワインを置いてほしい。
・僕たちはぶどう栽培、ワイン醸造を中心に生きていく。
・人々の心の真ん中、記憶に残るワインを造りだす。
ワイナリーの名前には、お二人のそんな思いが込められています。
「僕たちのワイナリー設立が次世代の刺激になり、地元の安曇野が盛り上がっていってほしいです。」(塩瀬さん)
ぶどう畑について
ワイナリーと畑は長野県安曇野市にあります。安曇野は盆地特有の内陸性気候で年間降水量が少なく、昼夜の寒暖差が大きいです。畑は標高約600mの傾斜地で水はけが良く、年間降水量が少ない・日照時間が長いなどの特徴を持つぶどう栽培向きのエリアです。こまめに農家さんと連絡を取り合い、最適な時期にぶどうを収穫できるように細心の注意を払って管理しています。
メインの自社畑がある明科の”天王原”はかつて桑畑として栄えていましたが、時代と共に人々から放置され15haの雑木林となっていました。地元の有志が集まり自らの手で開墾を始めたのが2013年。途中から塩瀬さん、齋藤さんも開墾に参加し、今までに10haが葡萄畑に姿を変えています。その中の約1.5haがル・ミリュウの畑。北アルプス・常念岳の正面、標高600m前後、礫が多く水はけのよい西向きの斜面でシャルドネ、メルローを中心に10種類以上のぶどうが栽培されています。
また、醸造用ぶどうでは珍しい方法ですが、房の1つ1つに傘をかけて裂果を防いでいます。


醸造について
「ワインは農産物である」ということを念頭に醸造しています。添加物は極力使用せず、補糖も補酸もしません。そして人の手が加わりすぎることで味わいが変化することのないように意識しながら、その年のぶどうの味や熟度などがワインにそのまま表れるように努めています。

ワインについて

「ル・ミリュウでは繊細さやエレガントさ、柔らかさを感じていただけるようなワイン造りを目指しています。そのため、出汁を効かせた和食や素材を大事にした料理のような優しい味わいのお食事に、ぜひ合わせていただけたらうれしいです。」(齋藤さん)
ル・ミリュウさんにお邪魔して試飲をさせてもらって以来、早く皆さまにご紹介したいし、自分も飲みたいとずっと思っていました。
決して「ヨーロッパのワインのコピー」ではなく、しっかりと「日本のワイン」らしさが出ていることに正直驚きました。それは「やさしさ」「ピュア」「上品さ」「滋味深さ」といったような方向性の味わいです(私の大好きなスタイルです!)。
迫力やパワーというよりも、上品で落ち着いた佇まい。インパクトというよりも控えめで、でもきちんと味わいの各要素がしっかりとある。ワインにはお二人の人柄が表れているのでしょうね。
前出の齋藤さんのコメントにもありますが、和食や日本の食事シーンにピッタリと寄り添うと心から思います。
「いろはわいんで扱えることが本当にうれしいです。ご紹介下さったリアルワインガイド様に感謝! 」(いろはわいん寺田)
ポラリス・シリーズ
Polaris(ポラリス):北極星
海や山で迷ったときに北極星から自分たちの向かっている方角がわかるということから、沢山あるワイン選びで迷ったときにはこのPolarisを飲んでもらいたいという思いが込められています。
ポラリス・シリーズは、木樽は不使用で造られています。
ポラリス ピノ・ノワール

品種:ピノ・ノワール100%
生産本数:約500本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
ファースト・ヴィンテージは2020年。枯れた風情の色合い。じんわりとピノの優しい香りが広がります。味わいもじんわり系。派手さやインパクトではなく、ピュアで滋味深い落ち着いた味わい。薄い液体ですが味の各要素はしっかり詰まっています。フランスのコピーでない日本のピノ。
「渋みが少なく香りが華やかな品種ですが、今までよりもしっかりした飲み応えがあり、少し熟成しても楽しめるような将来性のあるワインになりました。華やかな香りが好きな方、あまり重たいワインが得意ではない方に飲んでいただきたいワインです。」(齋藤さん)
ポラリス シラー
品種:シラー100%
生産本数:約220本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
「人気で引き合いの多かったワインです。赤い果実の感じがしっかりある、ポラリスのシリーズの中では一番飲み応えのあるワインです。通常、樽熟成されることの多いシラーという品種ですが、ピュアな味わいを感じることのできる珍しいワインです。」(齋藤さん)
ポラリス Sスタイル
品種:メルロー、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン
生産本数:約220本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
「メルロー、シラー、カベルネをステンレス発酵させてブレンド。一年間の瓶熟でそれぞれの品種がシッカリとなじんで、単一品種にはない、調和のとれた味わいとなっています。」(齋藤さん)
ポラリス ピノ・グリ

品種:ピノ・グリ100%
生産本数:約800本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
ファースト・ヴィンテージは2020年。まず、塩味を感じるミネラルをの風味。そしてジューシーで甘やかな果実感に、心地よいほろ苦さが全体を引き締めています。
「全体として香り味わいが、より良くなりました。香りはおとなしめの品種ですが、果実の香りが感じられ穏やかな酸味と相まってスルスルと飲めるワインに仕上がりました。」(齋藤さん)
ポラリス リースリング

品種:リースリング100%
生産本数:約600本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
ピュアで飾り気のない爽やかな香り。これこそリースリングの香り。味わいもまさにフレッシュなフルーツそのもの。甘酸っぱさとミネラルの塩っぽさ。味わいの各要素がバランス良く調和。素直で自然、まっすぐな味わい。
「花のような香りがグラスいっぱいに広がります。酸味もあり、食事との相性もいいですし、単体でも楽しめるワインとなりました。」(齋藤さん)
ポラリス ソーヴィニヨン・ブラン
品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
生産本数:約250本
醸造:ステンレスタンク使用。無濾過、無清澄。
「ハーブのような香りでレモンの様なしっかりとした酸味のある白ワインとなりました。酸味のあるワインが好きな方におすすめのワインです。これからの暖かくなる季節に軽めの食事と合わせてしっかり冷やして飲んでいただきたいです。」(齋藤さん)
ポラリス リュウガン・オレンジ

品種:竜眼100%
生産本数:約500本
醸造:ホーロータンクで発酵、ステンレスタンク熟成。無濾過、無清澄。
シルクロード経由で中国からもたらされ、長野に根付いたといわれるぶどう品種「竜眼」。山梨の品種「甲州」と共に日本ワインの礎ともいえるぶどう、のはずが「今ではあまり保護も栽培も、ましてや広める活動もされていない」(齋藤さん)という寂しい現状です。そんな状況を憂えたル・ミリュウのお二人は、耕作放棄地になりかけていた樹齢30年超という貴重な竜眼を引き受けました。
繊細で淡い風味の竜眼。糖度もそれほど上がらずアルコール8%ほどのワインになります。その特徴を活かし風味を引き出すため、いわゆる「オレンジワイン」に仕上げた意欲作です。
梅風味の旨みのある酸。ハッカや紫蘇など和のハーブの風味。どこか日本酒に通じる、いい意味で中庸なスタイル。和食、特に信州のそばとの相性は抜群です。
「薬草のような独特の香りがあり、皮からのほのかなタンニンと酸味、抑えめのアルコールが食中酒として優れていて、和食、日本の薬味などによく合います。」(齋藤さん)
「まだこの『竜眼』のゴールは見えていないんです。山梨に『甲州』があるように、長野・安曇野に『竜眼』ある。そんな風に思ってもらえるワインが造れるように試行錯誤中です。」(塩瀬さん)
ポラリス ロゼ

品種:(2020VT)カベルネ・ソーヴィニョン主体、カベルネ・フラン
(2021VT)ピノ・ノワール、シラー
生産本数:約220本
醸造:ステンレスタンク、フレンチオーク使用。無濾過、無清澄。
甘やかな果実の香り。梅やプラムなど、さわやかで食欲をそそる酸。果実の旨みと紅茶の風味を感じる、上品でまろやかなロゼワインです。
「2021年ヴィンテージはピノノワールとシラーのロゼです。ロゼワインはどんな料理にも合わせやすいので、海外では人気の高いジャンルです。軽めの赤ワインになるピノノワールとしっかり系のシラーをブレンドすることでバランスのよい仕上がりとなりました。」(齋藤さん)
シリウス・シリーズ
名前は明るく光る1等星のシリウスが由来で、「飲んだ人の記憶に刻まれるようなワインを造りたい」という想いが込められています。
シリウス・シリーズは、木樽も使用してより超熟タイプに造られています。
シリウス メルロー・カベルネ
品種:メルロー67%、カベルネ・ソーヴィニョン33%
生産本数:約500本
醸造:ステンレスタンク、フレンチオーク使用。無濾過、無清澄。
ファースト・ヴィンテージは2019年。仕込みのあと12ヶ月間フランス産の樽で熟成させ、また瓶内でも1年ほど熟成させたことで、深みのある熟成感をしっかりと感じられるワインに仕上がっています。
シリウス ピノ・ノワール

品種:ピノ・ノワール100%
生産本数:600本
醸造:ステンレスタンク、フレンチオーク使用。無濾過、無清澄。
茶色がかった外観。甘やかな花の香りに突き抜けた紅茶という、なんとも上質で期待が膨らむ香り。ほど良い果実のボリュームに、きっちりとミネラルの風味。余韻にやわらかい旨みの酸が続きます。とっても上品な「和」を感じるピノ・ノワール。
「樽熟成12か月間。色合いは薄く、すでに熟成感も感じられる。赤い果実の香りと樽の香りが溶け込み、今飲んでおいしい樽熟成のワインです。」(齋藤さん)
シリウス シラー

品種:シラー100%
生産本数:300本
醸造:ステンレスタンク、フレンチオーク使用。無濾過、無清澄。
爽やかな若草を思わせる、いい意味で青っぽい香り。少しの獣っぽさ。複雑な香り。しっとりと落ち着いた液体で、タンニンは細かくこなれておりなめらか。甘やかな樽の風味ともよくマッチしています。これが「日本のシラー」ですね!素直に美味しい。おだやかで、でも味わいに「芯」があります。
ル・ミリュウ ルージュ
品種:メルロー100%(樽選抜)
生産本数:約500本
醸造:ステンレスタンク、フレンチオーク使用。無濾過、無清澄。
ファースト・ヴィンテージは2019年。ル・ミリュウのトップ・キュヴェ。日本のメルローの繊細性を見事に表したワイン。しっとりとなめらかな上質感、充実感のある液体。「日本ワインの高品質さはここまで来たか」と嬉しくなってしまう赤ワイン。
「樽熟成12か月間。樽で選抜したメルローです。樽のロースト香を追いかけるようにプラムのような赤果実の香りがしてきます。酸味、渋みがしっかりあり、まだ熟成にも耐えられるフルボディタイプの赤ワインになります。」(齋藤さん)