
伝統と革新のチャコリが
ゲルニカの生物圏保護区で復活
生産者について
ボデガス・イチャスメンディは、1990年、ビスカイアで歴史的にワイン栽培が持っていた社会的、経済的、文化的名声を回復することを目的に、農業関係者のグループによって、ムスキスに設立されました。イチャスメンディの名前は、最大33%の勾配を持つ山(バスク語で“MENDI”は「山」の意)の斜面とカンタブリア海(バスク語で“ITSAS”は「海」の意)の近さから生まれた造語。2002年には、ウルダイバイ生物圏保護区の中心にあるゲルニカに醸造所を移転し、多様性に満ちた自然の中で環境を尊重しつつ、革新の精神を持ち、新しいコンセプトのチャコリを次々と生み出してきました。醸造チームは、テクニカル・ディレクターのガリコイツ・リオスのもと、生産マネージャーのビンヘン・メンディサバル、品質マネージャーのエドナ・ベルメホの3名。50個以上のタンクで、マイクロ・ヴィニフィケーションを実践しています。
ガリコイツ・リオス・ウルバネタ氏(1966年生まれ)は1990年のイチャスメンディ発足時から栽培、醸造の中心メンバーで、一時はアナ・マルティン氏と共同で醸造をおこなっていましたが、現在は、彼が中心となり醸造をおこなっています。自然と共存する姿勢はワイナリー設立時からかわらず、技術だけに頼らずぶどうが本来もっている強さを引き出すピュアなワインづくりを心掛けています。スペイン国内外からの人気はともに高く、スペイン国内の多くの有名レストラン(「マルティン・ベラサテギ」ミシュラン3つ星、「ムガリッツ」ミシュラン2つ星、「ネルア」「ラ・ミナ」「アサドール・エチュバリ」ミシュラン1つ星、など)でオンリストされています。

畑について
イチャスメンディのチャコリに独特の個性をもたらしてくれているのは、ぶどう畑です。イチャスメンディでは、18区画に分かれた、合計45ヘクタールのぶどう畑を有しており、地質学的、微気候学的な多様性を通して、それぞれの畑で栽培されるぶどうの個性が表れています。
私たちの土壌には、頁岩、砂岩、泥灰石灰岩、石灰質粘板岩、砂質石灰岩などがあり、粘土質、ローム質、砂質ローム質の土壌は、深さが65cmから1.70mと非常に深く、水位も様々で、ブドウ畑には自然発生的な植生が数多く見られます。
イチャスメンディでは、このぶどうを植える区画を綿密に選定しているのです。そして、各区画の醸造学的ポテンシャルを最大限に引き出し、また、様々な精密なぶどう栽培技術や数多くの研究開発プロジェクトを通じて、ぶどう畑のゾーニングに労力を費やしています。
ワインについて
Bizkaiko Txakolina Itsasmendi
ビスカイコ・チャコリーナ・イチャスメンディ
品種 | オンダラビ・スリ50%、オンダラビ・スリ・セラティエ(プティ・クルヴュ)50% |
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区画 | ビスカイヤ県内の様々な市町村にある18区画、計45ヘクタールのぶどう畑 |
土壌 | 多様 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | 自生品種オンダラビ・スリとオンダラビ・スリ・セラティエのクパージュ。イチャスメンディの多様な地理的条件、ミクロクリマを持つぶどう畑の表現のつまったチャコリ。自然環境に配慮した醸造を行っています。 |
生産本数 | 150,000~175,000本 |
緑がかった麦わら色。洋梨などの白い果実や柑橘類の力強い香りで、セージやハーブのニュアンスに、白い花、ほのかにパッションフルーツも感じます。非常に表現豊かで複雑。口に含むと、フレッシュで豊かな味わいで、中盤から柑橘類と白い果実のボリュームが際立ちます。余韻は長く、ハーブ、フルーティー、花の香りが長く続きます。顕著な塩味が、酸味とフレッシュさを引き立てます。
Itsasmendi NO7
イチャスメンディ・ヌメロ・シエテ
品種 | オンダラビ・スリ44%、オンダラビ・スリ・セラティエ43%、ロレ・マカラ(リースリング)8%、イスキリオット・アンディ(グロ・マンサン)5% |
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区画 | ビスカイヤ県内の様々な市町村にある18区画、計45ヘクタールのぶどう畑 |
土壌 | 多様 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | 5,000リットル、7,500リットルのステンレススティールタンクにて醸造後、7ヶ月〜11ヶ月ほど澱とともに熟成。 |
生産本数 | 50,000~65,000本 |
異なる区画ごとに収穫、醸造されたタンクからセレクトしてブレンドして、その進化と熟成の可能性を楽しむワイン。その年のぶどうのキャラクターを表現した、長熟なチャコリの生産にチャレンジしたイチャスメンディの意欲作であり代表作。最初にこのワインがつくられたステンレス槽の番号である「7」は、今や多くの人がその名を知ることとなり、このチャコリを飲めば、それまでのチャコリのイメージが覆されることでしょう。
ARTIZAR
アルティサル
品種 | オンダラビ・スリ・セラティエ100% |
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区画 | レイオアにあるペルリという畑で、 深さ80〜90cmに石灰岩の岩盤があるの区画(湿度が保たれるため、温暖な年でもぶどうの生育サイクルが保たれ、優れた品質のぶどうができます) |
土壌 | 石灰質土壌 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | 2000リットル入りの大樽にて発酵後、8ヶ月ほど澱ととも熟成。 |
生産本数 | 2,500本 |
“ARTIZAR”はバスク語で「金星」のことで、夜空を照らす最初の星。 このワインのコンセプトは、ヴィンテージごとに独自の成長を遂げ、優れたスターのように自らの光で輝く自由を持っている ことです。それは、大規模生産では時に見過ごしてしまうような小さな区画や細やかなワインづくりへの道を開き、その知識は、経験、研究、そして、毎年起こる自然変動の結果、あらゆる形で表現されます。イチャスメンディにとって、その年のグラン・クリュと判断した区画のみのぶどうからつくるワインです。そのためヴィンテージごとに区画は変わります。
PARADISUAK MORGA
パラディスアク・モルガ
品種 | オンダラビ・スリ100% |
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区画 | モルガにある急斜面の石灰質スレート土壌の区画で標高300m |
土壌 | 石灰質スレート土壌 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | 収穫は10月中旬。発酵後、700リットルと600リットルのバリックで約9ヶ月間熟成。 |
生産本数 | 2,000本 |
“PARADISUAK”は、バスク語で「パラダイス(楽園)」の意。 このプロジェクトは、それぞれの区画の特異性を際立たせることを目的につくられました。 収穫期の終盤に収穫。ぶどうの成熟の素晴らしさを示す黄金色。力強く、複雑なアロマで、熟した白い果実、黄色い花、蜂蜜にバルサミコやハーブのほか、奥にはナッツやマンダリンの柑橘のニュアンスを感じます。冷涼感と収穫終盤の暖かさからくる熟成感の見事なコントラストが表現されたワイン。口に含むとヘーゼルナッツのようなナッツのニュアンスが感じられ、ビターオレンジの皮のような柑橘系果実の香りとともにフィニッシュまで続きます。グラスの中で時間を過ごすにつれ、複雑さとアロマの強さが増すチャコリです。脂ののった魚や赤身の肉とご一緒に。また、冬の焚き火を囲みながら。
Bat Berri
バット・ベリ
品種 | オンダラビ・スリ100% |
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区画 | ゲルニカとレモニスに位置する、オンダラビ・スリを栽培するふたつの区画。畑はプレンシア湾に面しており、海と西風の影響大。 | 土壌 | 非常に浅い、石灰質粘土質のローム土壌 | 栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | ステンレススティールタンクにて、全房でカルボニック・マセラシオン15日間、野生酵母による自然発酵。11年以上使用の古い大樽で12か月、赤土製のティナハにて2か月熟成。 | 生産本数 | 3,000本 |
BAT BERRI”はバスク語で「新しいもの」の意味。また、英語のBerry「ベリー」にもかけてつけた名前。 琥珀色を帯びた黄色。核果類、白い果実から柑橘類まで、濃厚で多様なアロマ。口当たりはとてもフレッシュで、タンニンがわずかに感じられ、アプリコット、フェンネルなどのハーブのニュアンス、オンダラビ・スリの特徴であるほのかな苦味が感じられます。非常にガストロノミックなワインで、野菜、特に、アーティチョーク、アスパラガス、ネギとの相性は抜群です。
Paradisuak Janeo Muskiz
パラディスアク・ハネオ・ムスキス
品種 | ピニュ・バルツァ(ピノ・ノワール)100% |
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区画 | ムスキスにあるピノ・ノワールの区画で、1989年にイチャスメンディによって初めてぶどうが植えられた区画 |
土壌 | 石灰岩土壌 | 栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | ムスキスにあるピノ・ノワールの区画を収穫し、野生酵母にて自然発酵。 |
生産本数 | 600〜1,200本 |
“PARADISUAK”は、バスク語で「パラダイス(楽園) 」の意。 玉ねぎの皮のような淡いピンク色。口当たりは繊細で、軽快、口の中に入るにつれて、ボリューム感と柑橘のニュアンスが口の中に広がり、余韻には、白い花のニュアンスと調和した、長く、ミネラリーなフィニッシュとなります。非常に複雑で、特徴的なロゼワインと言えるでしょう。カンタブリア地方のカシ林の中にある石灰岩土壌の区画で、野生酵母による自然発酵を行っているため、毎年微生物の多様性の影響を受け、大西洋気候の特徴の多様さを表現するワインとなっています。
Eklipse
エクリプセ
品種 | ピニュ・バルツァ(ピノ・ノワール)58%、オンダラビ・ベルツァ20%、ベルデシャ・サリエ(カベルネ・フラン)22% |
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区画 | ビスカイヤの海岸付近(1ヘクタール)、ムスキス(0.75ヘクタール)にあるぶどう畑で、樹齢は20年以上。 |
土壌 | 石灰岩由来の粘土ローム土壌 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | ピノ・ノワールとオンダラビ・ベルツァのクパージュ。円錐形のステンレススティールタンクで発酵後、2000Lのフレンチオーク樽で10か月熟成。 |
生産本数 | 5,000〜6,000本 |
“EKLIPSE”はバスク語で「日食・月食」の意。 大西洋岸気候に典型的な明るい色。複雑で力強く、スレート土壌由来のミネラルがはっきりと感じられます。また、イラクサなどの草のアロマのほか、黒い果実、スミレの花の香りがあります。口当たりはなめらかで、フルーティ。ふくよかな味わいが口の中いっぱいに広がり、酸とわずかな渋みとのバランスが絶妙。
Urezti
ウレスティ
品種 | オンダラビ・スリ・セラティエ 89%、イスキリオット・アンディ(グロ・マンサン)11% |
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区画 | 毎年、一番ぶどうの成熟が遅い、標高300メートル超にある5,000m2の畑のぶどうを 使用。さらに、アルコール度数の高さの際立った別の区画を厳選し、ぶどう樹1本当たり10〜15房ほど残し、11月末に収穫。夜は涼しく、秋には霧が発生するため、貴腐が生じる年もある。 |
土壌 | 泥灰質の石灰岩、頁岩からなる粘土質土壌 |
栽培 | リュット・レゾネ |
醸造 | 熟成はフレンチオーク樽で3ヶ月間フレンチオーク樽で熟成させ、さらに1ヶ月間フードル樽で熟成。 |
生産本数 | 5,000本 |
“UR”はバスク語で「水」 、“ESTIA”は「蜂蜜」の意。 この地域の秋を完璧に表現したワイン。DOビスカイコ・チャコリーナ初の遅摘みワインで、2001年よりリリース。酸味と甘みのバランスが絶妙。各種チーズ、フォアグラ、サーモンのミキュイ、甘すぎないデザートとご一緒に。

いろはわいん 生産者情報
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